活動報告vol.23
白神山地世界遺産登録三十周年に向けた取組について≪一般質問 令和3年12月定例会≫
質問1
世界遺産登録三十周年を迎える白神山地の魅力をどのように情報発信していくのか、知事のお考えをお伺いいたします。
ブナ林散策道
暗門の滝
答弁1 三村知事
世界自然遺産白神山地には、縄文時代から人との関わりを持つ原生的なブナ林の中で、多種多様な動植物が織りなす生態系の価値に加えまして、山、川、海の恵み、自然との共生により育まれてきた暮らしや文化など、白神山地ならではの多彩な魅力がございます。
こうした白神山地の四季折々の価値や魅力を多くの方に体感していただくよう、様々な体験プログラムの創出等によりエコツーリズムを推進し、県内外はもとより、国外へも情報発信をしてきたところであります。
私は、白神山地が令和五年度に世界遺産登録三十周年を迎えるに当たり、新たに世界文化遺産に登録されました北海道・北東北の縄文遺跡群と併せて、縄文の文化と自然の両方の魅力を味わうことができる二つの世界遺産として一体的に発信することにより、地域活性化につながる相乗効果を上げることができるものと期待いたしております。
このため、世界遺産登録三十周年への機運醸成に向けまして、白神山地の玄関口ともなります弘前市や地元鰺ヶ沢町、深浦町及び西目屋村と方向性を共有し、三内丸山遺跡をはじめとする縄文遺跡群と連携いたしますとともに、本県と姉妹提携協定を締結し、同じく世界自然遺産を有します韓国済州特別自治道など、国外にも引き続き白神山地の価値や魅力を情報発信していきたいと考えているところでございます。
新型コロナウイルス感染症の後遺症対策について
質問2
新型コロナウイルス感染症の後遺症に関して、県としてどのように対応していくのかお伺いいたします。
答弁2 健康福祉部長
新型コロナウイルス感染症の後遺症については不明な点が多いことから、本年十月八日に国立国際医療研究センターが公表した後遺症に関する研究報告においては、最も重要な後遺症の予防は新型コロナウイルス感染症に罹患しないことであり、基本的な感染対策が重要であるとされています。
本県では、これまでも機会を捉えて県民の方々にマスクの着用や手指消毒の徹底など、基本的な感染防止対策の重要性を周知してきたところであり、引き続き啓発に努めていきます。
また、新型コロナウイルス感染症の後遺症については、全国的に効果的な対策を講じていく必要があることから、引き続き、全国知事会を通じて国に対し早急な実態解明を求めていくとともに、後遺症対策に関する十分な財政措置についても求めていきます。
津軽圏域の新中核病院について
質問3
津軽圏域の新中核病院の機能と役割について。また、開院した後の地域の関わり方についてお伺いいたします。
答弁3 健康福祉部長
国立病院機構によりますと、新中核病院は、国立病院機構弘前病院の診療科を拡充し、二十四の診療科とする予定となっています。
また、病床数は四百四十二床、常勤医師は七十名程度を見込んでいるところであり、地域内の二次救急医療や周産期医療、災害医療、がんや心疾患、脳血管疾患などの高度・専門医療、弘前大学医学部との連携による若手医師の育成拠点、かかりつけ医など地域の医療機関との連携といった地域の課題を踏まえた医療機能を担うこととなっています。
これらの医療機能により、津軽地域保健医療圏の地域住民に、将来にわたり安心・安全で良質な医療を提供する役割を果たしていくこととなります。
そして、津軽圏域の新中核病院開院後の地域の関わり方については、 国立病院機構では、新中核病院の適切な運営に資するため、弘前市、青森県及び弘前大学並びに地元関係者で構成する運営委員会を設置することとしています。
県としても、この運営委員会を通して地域の声が反映され、新中核病院が円滑に運営されていくよう、連携して取り組んでいきます。
ナラ枯れ被害対策について
質問4
本県におけるナラ枯れ被害の状況と今後の被害対策への県の取組についてお伺いいたします。
木村代議士とナラ枯れ被害の状況を調査
答弁4 農林水産部長
ナラ枯れ被害に関する御質問二点にお答えします。まず、本県におけるナラ枯れ被害の状況についてです。
本県におけるナラ枯れ被害は、平成二十八年以降、増加傾向にあり、昨年七月から本年六月までの令和二年シーズンには、民有林と国有林を合わせて、令和元年シーズンの三倍となる約四万二千五百本の被害木が確認されました。
また、発生地域も、深浦町に加え、議員からもございましたように、新たに弘前市、西目屋村、五所川原市、つがる市、鰺ヶ沢町、中泊町の六市町村に拡大しています。
今シーズンの被害が減少した要因について、ナラ枯れ被害対策検討会における専門家の見解によりますと、病原菌を媒介する昆虫を健全な丸太におびき寄せて駆除するおとり丸太法の効果があったことや、本年一月の低温により、媒介昆虫の越冬個体数が減少したことなどが挙げられております。
次に、今後の被害対策への県の取組についてです。
ナラ枯れ被害対策については、その効果に対して一定の評価が得られていることから、県では、今後も青森県ナラ枯れ被害対策基本方針に基づき、被害の監視、駆除、予防を柱とした対策を継続することとしています。
具体的には、被害の早期発見に向けて監視を徹底した上で、被害状況に応じて被害木の薫蒸処理やおとり丸太法による媒介昆虫の駆除を適切に実施するとともに、被害を受ける前に伐採し、森林の若返りを図ることで、健全な森づくりを進めていきます。
さらに、岐阜県の事例を参考に、被害木をまきに加工することで幼虫期の媒介昆虫を駆除する効果について、現在検証を進めているところであり、県としては、専門家の意見を参考に、今後とも、国や市町村、関係団体等と緊密に連携しながら、ナラ枯れ被害の拡大防止に取り組んでまいります。
リンゴの販売対策について
質問5
県は、コロナ禍がもたらした影響を踏まえ、国内における令和三年産リンゴの消費宣伝対策にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
令和3年産りんごの市場調査
答弁5 三村知事
県産リンゴは、消費者からの信頼を支えに、コロナ禍にありましても堅調に販売されてきましたが、店頭における消費者への呼びかけや試食販売など、対面での宣伝活動は依然として制限が続いております。
こうした中、先般、首都圏の住宅地で行われました量販店の移動販売での県産品をPRする機会がございまして、私の呼びかけに対しまして、たくさんのお客様から青森頑張れとの励ましの声とともに、多くの県産品を手に取っていただきました。顔の見える活動が販売促進の原点であるということを改めて認識いたしましたが、今後も対面での活動を大切にしながらも、感染症対策のための新たな手法を取り入れることで、販売関係者や消費者との信頼を強固にしていきたいと考えているところであります。
令和三年産県産リンゴの販売におきましては、これまで関係を築いてきました企業や量販店、市場等のトップを訪問し、青森県フェアの継続を働きかけますとともに、新たな販路の獲得につなげていきます。
また、量販店等の店頭では、アバターやロボットなど非接触型の消費宣伝手法を実践しつつ、テレビ、ラジオ、新聞などのメディアキャラバンを強化することで青森リンゴの魅力を広く伝え、販売拡大を図っていきます。
さらには、県りんご対策協議会と連携しまして、SNS等を通じた情報発信や大手食品企業とのタイアップによる多様な食べ方の提案といったことにも取り組みまして、良好な販売環境の確保に積極的に努めてまいりたいと考えております。
グローバル人財の育成について
質問6
県教育委員会では、グローバル人財の育成のため、国際交流にどのように取り組んでいるのか。また、県教育委員会と台北市政府教育局は、今後どのように教育交流を進めていくのかお伺いいたします。
答弁6 教育長
グローローバル人財の育成に係る御質問二点にお答えします。まず、グローバル人財育成のための国際交流の取組についてです。
県教育委員会では、高校生がグローバル社会において主体的に学び、国内外で自分の意見、考えを発信することができる人財の育成を目指して国際交流の取組を進めているところであり、昨年度からグローバル社会を主体的に生き抜く人財育成事業を実施しております。
具体的には、青森・台湾間の高校生協働学習促進プログラムにおいて、県立高等学校十校が、日頃の学習内容を基に、地域の諸課題や産業、科学研究等に関する取組について、台湾の高校生との教育交流を実施しております。
例えば、青森高等学校と台中市の華盛頓高級中学が、少子高齢化が進む本県と台湾の現状について共に理解を深め、働き手の確保と外国からの労働力をどう生かすか、いかに共生していくかについて、英語による発表や意見交換等を行っております。また、柏木農業高等学校と台北市松山高級工農職業学校が、県産リンゴ等の果物の流通や販売について協働で学習しております。このような取組を通して本県の高校生が広い視野を持って国際理解を深め、国際社会と向き合う資質の育成につながっているものと受け止めております。
なお、本事業については、派遣及び受入れによる交流の予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、昨年度に引き続き、今年度もオンラインを活用した交流活動に取り組んでおります。
次に、台北市政府教育局との今後の教育交流についてです。
県教育委員会では、これまで、台湾との教育交流を進めてきましたが、本県の高校生がグローバルな視点や考え方をさらに身につけられるよう、先進的な協働学習を実践するため、令和三年八月三十一日、台北市政府教育局と教育交流に関する了解覚書を締結しました。
この了解覚書では、工業科、農業科、商業科、普通科、中高一貫の五校を双方から選定し、両地域間の学校及び生徒と教員の交流を促進するため、相互訪問交流、オンライン交流、相互の探究活動のためのプロジェクト協力等、多様な学習活動を行うことなどを定めております。これまでの教育交流に加え、お互いの専門性を生かし、より高度で実践的な協働学習の促進につながるものと考えております。
なお、今年度はオンラインを活用して研究テーマを決定し、具体的な活動を進めているところです。
県教育委員会としましては、了解覚書の締結により、台湾との教育交流を促進させ、グローバルな視点を持ち、主体的に行動できる将来を担う人財の育成につながるよう取組を進めていきます。